ジビエ料理にはE型肝炎が深く関係しているかも…という事実を皆さんご存知ですか?注意すべきは豚肉だけじゃない!?その実態を調査しました。肉好きさんにはたまらない、ジビエ料理に潜むE型肝炎の基礎知識や、食べる前に絶対に知っておくべき情報を紹介!
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型肝炎患者が急増!原因に最近人気のジビエ料理が関係か
国立感染症研究所の調べで、2016年1月~4月10日までのE型肝炎患者数が116人にのぼったとの結果を発表しました(昨年同時期と比較すると2.2倍)。厚生省からは、E型肝炎の原因となる豚肉の生食や生レバーの禁止が2015年6月に発表されています。しかし、患者数をみると減少どころか発生者が後を絶たない、むしろ過去最高だった昨年患者数よりも増加している理由はどうしてなのでしょうか。
そこには、最近ブームとなっており専門店も多くなってきた「ジビエ料理」が大きく関係しているようなのです。
楽しむ前に絶対知るべき大人気のジビエ料理とE型肝炎の関係、そしてE型肝炎の特徴や長い潜伏期間についてなど詳しく調査しました。
そもそもE型肝炎とは?なぜ豚の生食提供が禁止になったの?
2015年6月12日より、豚の肉や内臓(レバーなど)を生食用として販売・提供することを厚生労働省が食品衛生法に基づき禁止しました。
豚肉を生のまま食べたり、レバーや内臓なども刺身として食べると、食中毒のリスクがある上にE型肝炎ウィルスに感染するリスクがあるからです。
平成24年に牛レバーを禁止したことで、牛レバーの代わりに豚レバーを提供するお店が増えたのですが、今度は豚レバーを提供することでE 型肝炎ウィルスの感染者が増加する結果となったんですね。
あまり耳慣れないE型肝炎ウィルスですが、劇症化するという非常に危険性があるウィルスなのです。
E型肝炎とは?
E型肝炎は、E型肝炎ウイルス(HEV)ウイルスに汚染されている食品や水などを食べたり飲んだりすることで、感染し引き起こされる急性肝炎です。
B型肝炎とC型肝炎のような血液や性行為からの感染といわれているウィルス性肝炎と違い、食事などを介して経口感染します。
どんな症状?
感染により慢性化することはなく、死亡などのケースは低いそうですが、感染すると、仕事や料理、食事の摂取などの気力が低下すると言われています。一過性の発症となるため、通常2週間~2カ月くらいで自然消失や自然治癒が見られると言われています。
しかし、重症化や劇症化する場合も稀にあり、重症な急性肝疾患の場合、命に関わる可能性あるので注意が必要です。また、特に妊婦や高齢者が感染した場合発症した場合に劇症化する率が高いとされているようです。
他、以下のような症状も。
- 黄疸
- 食欲不振
- 肝腫大
- 腹痛と腹の張り
- 嘔気や嘔吐
- 発熱
潜伏期間や治療法について
潜伏期間
このE型肝炎の厄介なところは、潜伏期間が非常に長く2~9週間。
感染直後に発症するわけではなく、長い潜伏期間を経て発症するため、感染源の特定がつきにくい特徴があります。
治療法
残念ながらE型肝炎の治療法は現在なく、急性期の場合は入院したり安静に過ごしながら、自然治癒するまで待つしかないのです。
重症化した場合は、医療機関にて症状に応じた治療が行われますが、E型肝炎特有としての治療法はありません。
また、感染予防のためのワクチン等も開発はされていません。
一過性とはいえ、劇症化する可能性もあるE型肝炎に治療法がないだけに、その原因と特定されている食品に対する注意はとても重要と言えるのです。
なぜ危険?ジビエ料理とE型肝炎感染の関係
ジビエ料理とは
ジビエ料理というのは、狩猟によって捕獲した鹿やウサギ、野鳥などの料理のことをいい、欧米では飼育された素材を使用することが多いので、素材が少なくとても貴重な料理。
最近はジビエ料理専門店や、ジビエを特産物として売り出している自治体もあり、美味しいだけではなくヘルシーで栄養満点と空前のブームとなっている料理なのです。
注意!ジビエ料理の生食は危険
人気のジビエ料理ですが、実はこのジビエ料理で提供される鹿やイノシシなども豚肉同様、E型ウイルスに感染する危険性が非常にあります。
つまり、禁止されている豚肉だけでなく、野生のイノシシやシカの肉や内臓も、十分に加熱して食さなければE型肝炎を発症したり食中毒にかかるリスクは相当あるということなのです。
厚生労働省は、豚肉同様にガイドラインやマニュアルを作成していますが、強制力がないため鹿肉の刺し身などをメニューとして扱っているお店も今はまだあります。
しかし、危険性を十分理解し、生で食べるのは絶対にやめることをおすすめします。
十分に火の通ったジビエ料理を楽しむようにしてくださいね。
家庭でジビエを調理するときの注意点
ご家庭でジビエ料理を購入・調理する場合は、以下の注意点をご確認ください。
- きちんと安全が確認されたルートから購入できるか
- 許可された「処理施設」にて処理されているか
- 適切に管理され、流通された商品であるか
また、調理の際には、必ず中心部まで熱を加える調理方法を行うようご注意ください。
(肉の中心部分:70~75度で1分以上の過熱)
通常の家畜食肉よりもリスクが高いことをしっかりと意識しながら調理してくださいね。
安全な方法でジビエ料理を楽しんで!
ジビエ料理は、内臓や肉を生でさえ食べなければ安全に美味しく食べられます。専門店もでき、和食からフレンチまで幅広く楽しまれるジビエ料理。危険性やリスクをしっかりと知れば、まったく心配なことはありません!
味が濃く美味しい、そして栄養価があるのにヘルシーなジビエ料理を楽しんでくださいね。